私はこのブログを通して、すべての人の生活を保証するベーシックインカム(BI)の導入を推進しています。ベーシックインカム導入を推進する立場として、よく耳にするのが「働かなくても生きられる社会になったら、やることがなくなってしまう。それは怖い」という意見です。これを聞くたびに、私はその不安の深層にある心理的背景について考えさせられます。
今回の記事では、こうした不安を掘り下げ、どのように向き合い、 そして乗り越えていくべきかという方策について考えてみたいと思います。
「やることがない恐怖」の正体
まず、この「やることがない恐怖」という感情の正体を探るところから始めましょう。この感覚は、一見すると、ベーシックインカムによって生活費が保障されることで「働かなくても生きられる」という自由を手に入れたはずなのに、なぜか不安や恐れを感じるという矛盾を含んでいます。なぜ私たちは、自由を得ることが怖いのでしょうか?
その根本的な原因は、私たちがこれまで「何かをしていないと価値がない」と社会から押し付けられてきたこと、そして「他人との比較(相対評価)」に基づいて自分の価値を測る社会に生きているからでだといえます。
社会が与える「成功」の定義は、経済的な成功や社会的地位、他者との比較に基づくものが多いため、何もしないことで得られる自由や幸福感を疑う気持ちが強くなるのです。
特に、現代社会では「働くこと」が自分のアイデンティティや社会的価値を形作る要素となっています。これが根底にあるため、「働かなくても生きられる社会になる」と、そのアイデンティティが揺らぎ、怖さを感じるのです。「自分が何もしないことで、他者と差をつけられ、価値がなくなるのではないか」という不安が、この恐怖の背景にあると言えるでしょう。
不安の根本的な原因:相対評価と経済的成功
「やることがない」ことへの恐怖の本質は、私たちが社会における成功や幸福を相対評価と経済的な成功でしか測れない価値観に支配されていることにあります。
どういうことかというと、よく考えてみれば、「やりたいこと」は実はあるのかもしれない。
例えばそれが、漫画を描くという夢があったとしても、成功しなければ「意味がない」「価値がない」と感じてしまう。これは、相対的な成功を追い求める社会的なプレッシャーによるものです。
- 「夢など見るものではない」
- 「全員が尾田栄一郎になれるはずがない」
- 「競争に勝てないのならやる意味がない」
- 「漫画で一発当ててタワマンに住みベンツに乗れなければ意味がない」
- 「最初からチャンレンジしないほうがいい」
また、資本主義社会においては、労働と報酬が直結しているため、仕事をせずに生きることに対する罪悪感や不安も強くなります。お金を稼がなければ、社会的に認められた成功を手に入れることができないという思い込みが、この「やることがない恐怖」をさらに強化しているのです。
この不安にどう向き合い、乗り越えるか
この不安を乗り越えるためには、まず自分の「価値」をどこに置くかを再考する必要があります。社会が提供する価値基準に従うのではなく、自分自身の内面的な価値や自己実現に焦点を当てることが、第一歩です。以下の方策を提案します。
「相対評価」からの解放
他人との比較をやめ、自分自身の成長や満足感を基準に物事を考えることが重要です。自分の進歩を他者との競争ではなく、過去の自分との比較で感じるようになると、外部の評価に依存しなくなります。
これができると、「何もしない」という選択肢にも意味が出てきます。たとえ世間的に成功していなくても、充実感や自己満足感を感じることができるようになります。
経済的成功に対する意識の改革
資本主義社会ではお金を稼ぐことが大きな価値とされますが、それだけが幸福の尺度ではないことを理解する必要があります。ベーシックインカムが導入されれば、生活の基盤が保障され、経済的なプレッシャーから解放されます。これにより、お金のために働くことから解放され、自己実現のための時間を自由に使えるようになります。
お金を稼ぐことが目的ではなく、生活の質や自分の成長が大切だという価値観にシフトすることが大事です。
自分の興味や情熱を追求する
「やりたいこと」を見つけることが重要ですが、その「やりたいこと」が仕事やお金を生み出すものとは限りません。趣味や個人的なプロジェクトを追求することで、自己満足感を得ることができます。
たとえば、アートや音楽、執筆などは、経済的成功を目指さなくても、心の豊かさをもたらすものです。これを「無駄なこと」とは捉えず、自己表現や感情的な充足を追求することで、人生がより意味深くなることを実感できるでしょう。
新しい社会的価値の創造
ベーシックインカムが実現すると、働かなくても生きていける社会が広がりますが、これを単なる「無職状態」として捉えるのではなく、新たな社会的価値を生み出すチャンスとして捉えることが大切です。たとえば、ボランティア活動や社会貢献、他者との共創といった「働かない社会」の中でも意味のある活動は無限にあります。このような活動が、新しい社会の価値観を作り上げるための一歩となります。
おわりに
「やることがない恐怖」は、これまで日本社会で支配的であった狭い価値基準に基づいて自分を測っていることから生じる不安です。しかし、この不安に立ち向かう方法は必ずあります。
自分の価値を外部の評価や経済的成功に依存させるのではなく、内面的な成長や自己実現を基準に生活することで、自由で豊かな人生を送ることができるようになります。ベーシックインカムが実現した社会では、経済的な自由が得られますが、それ以上に重要なのは、自分自身をどのように価値づけ、どんな生活を送るかを見つけることです。その自由を手に入れたときこそ、真の意味で「何もしていない怖さ」を乗り越えた瞬間なのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。